2019年にウェブ上のインタビュー記事を読み、シェフの考え方に興味を持ってから、「みてみたい(食べてみたい)いつか」と思っていた夢が、5年でかなってしまいました。
すぐに実現に移さなかったのは、私がこれまで経験したことのない予算で、実現までのハードルが非常に高かったため。住んでいる街にはないレストランのため、飲食代はもちろん、往復の交通費と宿泊代も加算され、一晩のためにその金額を使いますか?という問いかけを自らにして「人生で1度は行ってみたいレストラン」の位置付けで、心もしくは脳内にブックマークをしました。
ただ、記事を読んだ瞬間から、心のなかに留めておかず(おけず?)、いろんな方に「行ってみたいレストランがある」と言い、ことあるごとに「夢なんです」と話すうちに、だんだんと、現実味を帯びた「行きたい」に変化していくことに。
理由のひとつには、友人夫婦が行ったこと。その友人から「(高いけど)行ったほうがいい 」と言われたこと。そのレストランは、実在するレストランなんだ。近い存在の友人が実際に行ったということで、可能性として「行ける」ことがわかったこと。もうひとつは、人生何が起こるかわからないので(自然災害、戦争含め)、「自分と自分の胃も含めて動けるときに、動かないでどうする?」という思いも芽生えてきたこと。
そこで実行に移すために、可能性の高そうな、「食に生きる人」の筆頭に思い浮かぶ友人に、思いきって「行かない?」と都内のおいしいお店でごはんを食べはじめるタイミングで誘ってみた。最初はいいねという感触だったのが、値段を伝えると、その金額を使う投資先として、もっといろいろな人の料理を知りたいとの返事。乗ってきてはくれなかったので、やっぱり難しいよねと思いつつ、引き続きいろんな場面で行きたいんだよねと話すうちに、
「私も行く」
と言ってくれる友人が予期せぬタイミングで現れた!!!しかも、レストランに近い場所に住んでいる友人が!
ただ、「ただ食べたいから」という理由では、行けない。理由が足りない。超ファンシーレストランに行く理由を探そう。出会ってん十年記念はどう?などと盛り上がり、行くなら2024年の春だねと、予約がとれるようになりそうな、行きたい日の2カ月前あたりになったらお互いの意思を確認し合おうと、カレンダーに予定を入れてその日はさよならをしました。
それまで、高級レストランにその友人と行った記憶がなかったので(行ってたらごめんなさい!!)、まさかのノリでそう発言したのかな、バイバイして現実社会に戻ったら、やっぱナシだわと思うかなと、まだ行けるかどうか疑っていたのが、年明けしばらくしてメッセージを送ると、引き続きやる気の返事がかえってきた!!!
これは実行するしかない、と、予約が取れる日程を予約ページでみて、友人に伝える。4月の予定が前月の3月もOKと返事がかえってきた。予約を入れた。まさかネット予約するだけでお金を取られる店があるとは知らず、そこでまず驚きの体験。予約日の変更不可(取った予約をキャンセルして、予約料金を新たに払うシステム)。どんな理由があっても予約日近くのキャンセルとなると、最悪全額の料金を支払わねばならず、そのリスクを回避するための、保険商品までついていたことにも驚き!
「絶対に行きたい。けど、感染症も次々と流行っているし、ご家族に何が起こっても不思議ではない。私も、新幹線が止まったらアウトだ。100%の期待はしないでおこう」と、事故、地震、自分の体調不良が起きないことも願った。
日程が近づくにつれ、この緊張感は、自分でも驚くほどの、いままでにないガッチガチの緊張だった。「かたくなってるぞ自分!」と、リラックスさせようとしても、緊張感のほうが勝ってる。
予約日の週の前半、アレルギー症状と思われる症状が出てきて、おや、舌禍免疫治療中なのに、杉じゃない花粉飛んでる?と、不思議に思うも、日中も鼻水が止まらない日が出てきた。しまった!ヤヴァイ。アレルギーじゃない可能性があったら死ぬ。味がわからないコンデションはまずすぎる。打ち合わせが終わったあと早々に帰宅し、翌日も身体を休める。用事だけ済ますこともでき、身体も休めることができて、よかったひどくならなかった。
そして!新幹線の遅延なく、無事、友人の家に着いた!事前に友人からは、レストランの前に美術館はどう?という提案もあったのだけれと、身体のコンデションを最高によくしてレストランにのぞみたかったので、お断りした。ほぼまっすぐレストランに向かえる状態に持っていけた。
レストランを先に体験した友人から、ボリューミーなためすごく胃腸の調子を整えてからいったほうがよいと聞いていたので、無駄なおやつでカロリーを接種するのは極力控え、朝は野菜と納豆とヨーグルト、昼はブロッコリーとトマトと鮭とりんごを友人の家まで持参して胃が空っぽになりすぎないようにした。
そして!友人の家からも電車遅延なく、道中車の事故にも遭遇せず、無事、レストランの前までたどり着けた!!!あとは楽しまないと!っと思うものの、いつもよりは緊張していたと思う。仕方ない。
事前情報(口コミ)を入れずに望んだので、お店に入る入り方からわからなくってドキドキしたっ!
レストランは、まるで舞台。それぞれのテーブルのお客様が主人公。初めは、器の概念が取っ払われた形状のものがたくさん並んだ。何が起こっているのかわからず、緊張しすぎでぶっきらぼうな反応になってたらごめんなさい。
だんだん慣れてくる頃から、提供されるお皿(料理)が美しすぎて、「食べる前に1時間くらい鑑賞時間がほしい」と思うように。食べたいと思う前に眺めたい、こんな風に思う体験はなかなかなかったかも。一皿に込められた情報量が多い。
そして美しかった一皿は、食べ終わったあとの皿の状態が、パステルカラーの絵の具が混ざったパレットのような景色として、目に飛び込んでくる。
店に入る前からだったけれど、めちゃくちゃ身体の各機能・器官が刺激される。頭がクルクル回転している。「食べる」行為が、それまでとは違った意味を持ち出す感じ。
もちろん、ベースとして、味わいがすごすぎる。独りよがりな味ではなく、本当に、見事に調和されている味わい。
過去に、「複雑にすればするほど、いいでしょう。どうだ」と語りかけられている気分になったケーキを食べたときの疲労感のような感情は一切顔を出さず、ただ、スプーンで一口味わう度、香りもしくは味の記憶が脳内から呼び起こされる。その感じはとても心地のよい感覚。
地球に想いをはせる、新たな体験。チーム全体のお店づくり。
関わる方たちの想いを受け止めきれているといいですが、わかったことは、一生に1度ではなく、また訪れたいと思ったこと。家族で行けたらいいのになとも思えたこと。
本当に、経験できて、よかったです。
食材の良し悪しを越えた次元に目線が誘われた、人生の新たな扉が開きました。
事前に接種する食料量の調整をしていって正解でした。秘密のデザートまで食べられました。コーヒーはちょっと残してしまうほどにはお腹いっぱいになりました。ただ、夜遅い時間のコーヒーだからなのか、とても優しい味わいで、できれば飲みたかったです。
また、移動の時間をかけてでも行きたいお店。
美術館に行ったあとの感覚。映画をみたあとの感覚。世界が違って見えます。
がんばって働きます!!!!
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